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Inna Zhelannaya

インナ・ジェランナヤ、キリル文字だとИнна Желанная。ロシアの歌手。

数年前にネットラジオ radioioのworldというチャンネルでたまたま聴いて、惹かれた(ちなみに今はこのチャンネルはない)。シンセっぽいサウンドを背景に響く歌声がストレートに生々しく、魅力的だった。ネットを探したが、かつてFarlandersというロックバンドにいた、という程度の情報しかなく、追い切れなかった。
今年久々にネットラジオを聴くようになって、思い立ってLast.fmの検索ワードに入れてみたら、Farlanders時代のものを中心に幾つか音源が拾え、その魅力を再認識した。数年の間にネット情報も増えていたし、YouTubeで映像も見ることができた。

Farlanders時代はロシアだけでなくアメリカやヨーロッパでもそこそこ知られていたようだ。このバンドは、日本のネットではプログレみたいな紹介をされていることもあるようだが、むしろフォーク・フュージョンというべきジャンルだろう。サウンドの土台はロック風のリズム隊とシンセが作っているが、表に出ているのは二本のクラリネットまたは民族楽器(ビデオではおそらくウクライナのものらしい縦笛が確認できた。音源だとシャルマイやバグパイプみたいな音も聞こえる)。バルカン風(?)変拍子の曲もある。音楽性のもとになっているのはあくまで民俗音楽で、そこにロックやポップの要素を合わせてシェイクしました、てな感じ。Farlandersの音楽的リーダーは民俗楽器を吹き歌も歌うSergey Starostinという人のようだが、Innaの声が入ると音楽が一段と締まる。その存在感はなかなかのものだ。

2006年にFarlandersを離れ、(自動的に?)民俗楽器からも離れたことで、彼女(のバンド)の音はよりエレクトロニカ寄りになっているようだ。私が最初に聴いたのは、たぶんその直後だったのだろう。サウンドの土臭さは抜けたけれど、音楽の底の底にある民俗性は変わっていないように思う。

公式サイトはロシア語だが、英語のページがMySpaceにあって、そこで新しいアルバムの音源が聴ける(映像も)。やっぱり、いい。CDやDVDが欲しくても、日本では入手しにくいのが残念だ。

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